愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第十四回

商品紹介

第四章 オレコート被覆線の黎明(れいめい)②

オレコートを販売するにあたり、先ず製品として信頼を勝ち取るということが重要です。オレコートの販売ターゲットは、土木分野の公共事業(落石防止柵や蛇篭、フェンスなど)としました。この市場は、本物語の第六回で紹介しましたように、「なまし鉄線を用いた塩化ビニル被覆線を用いた網」が錆びて朽ちる危険性から被覆線の信頼が薄れていた市場です。

この市場を取り戻すためには、先ず、錆びないという性能を評価してもらう必要がありました。そのために第三者の評価機関において技術的な確認作業を行います。試験では、太陽光・温度・湿度などを人工的に再現した促進試験の「サンシャインウェザーメーター」や塩害地区を想定した「塩水噴霧試験」、海岸の砂などの吹付を想定した「耐砂摩耗試験」、寒冷地でも被覆が割れないことを確認する「アイゾット衝撃試験」、火山温泉地域での利用を想定した「耐薬品試験」など、想定できる環境を考慮した様々な試験を行いました。

各試験結果は、当時もっとも耐久性があるとされていた亜鉛めっき鉄線7種(400g/㎡以上のめっき付着量の鉄線)を遥かにしのぐ結果を得たのです。

この結果を持って、営業活動を始めます。オレコートは、業界初の環境対策商品であることを前面に、性能確認した技術資料を持ってPRを重ねていきました。しかし、日本には新製品に対して必ず立ちはだかる、公共商品への壁がありました。その壁は「実績」。官公庁では、新しい商品を持ち込むと必ず「どこかで使われているか?」と聞かれました。窓口の担当者は、実績が無ければ取り合ってくれない現実があったのです。その壁を打ち崩すため、実績相当の結果を求め、様々な厳しい環境下でのテスト施工を繰り返したのです。(つづく)

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