愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第十回

商品紹介

第三章 新しい被覆素材を探せ③

飽和ポリエステル樹脂被覆の開発では、先ず、樹脂の取り扱いの難しさに苦慮していました。この飽和ポリエステル樹脂は、吸水性があり常に乾燥させる必要があるため、保管に気を遣わなければならなりませんでした。湿度の高い場所で迂闊に放置てしまうと、樹脂が使えなくなってしまうのです。また、飽和ポリエステル樹脂は、被覆に適した温度幅が狭く、上手く被覆することが非常に難しい素材でした。温度を間違えると浪打や偏りなどが起き苦慮しました。それでも、長年培った技術力を駆使し、被覆温度の維持方法の確立、樹脂の吐出口の改良などを行い、なんとか飽和ポリエステル被覆線を完成させました。

課題となっていた製網工程でも、季節に関係なく安定して網に加工することができ、落石防止網や落下物防止柵に採用されるまでとなったのです。

ただ、初期の販売では、被覆する難しさから心線と被覆の接着不良が相次ぎ、結果的に販売数量の倍以上の製品を入れ替えるという失敗が起こってしまうこともありました。失敗は、技術力でなんとか乗り越えることはでき、その後、順調に製造できる体制を確立することができたのです。

しかし、製造体制まで確立した飽和ポリエステル樹脂被覆鉄線でしたが、トワロンでは新しい素材として選ばないという選択をすることとしたのです。(つづく)

コメント

  1. 勉強になります。続きを早く下さい。弁理士法人来知国際特許事務所 弁理士 宇高克己

    • 宇高先生 コメントありがとうございます。
      随時、続きを掲載してまいりますので引き続きよろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました