愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第十一回

商品紹介

第三章 新しい被覆素材を探せ④

トワロンは、順調に生産できるようになった飽和ポリエステル被覆を新しい素材として選択しないこととした。その最大の理由は、同業のメーカーも同じ被覆を開発していたことにありました。技術力が劣っているというわけではありません。再出発した被覆線業界は、技術向上と販売競争力を付けていかなければならなりません。技術競争ではなく価格競争に波及してしまうことを避けなければならないと懸念したためでした。価格競争は、被覆線業界を疲弊してしまうだけで、時代に合った新しい開発のための未来にはつながりません。

トワロンは、他を圧倒する革新的な被覆材で大きな差別化をすることが被覆線業界として必要だと考えていました。合言葉は、「オリジナルにしてオンリーワン」。如何なる被覆線をも凌駕し、人々が喜んでいただける製品を提供すること。そして、その新規開発をする競争原理こそが被覆線業界を盛り上げることだと考えたのです。

新しい被覆線のターゲットは、フェンスや落石防止網などの公共の土木施設。特に、めっき線でも錆びやすい過酷な環境下を目指すこととしました。開発コンセプトは「いかなる過酷な環境下でも長年使用できる革新的な被覆鉄線」。

目指すオンリーワンの樹脂は、飽和ポリエステルと並行して開発を進めていた、もう一つの樹脂であるポリエチレンアイオノマー樹脂でした。(つづく)

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