第四章 オレコート被覆線の黎明(れいめい)①
苦心の末に安定した被覆に成功した新しいポリエチレンアイオノマー被覆鉄線は、1997年に「オレコート被覆鉄線」として製造が開始されます。オレコートは、販売当初の商品名で、オレコートの「オレ」は「オレフィン」の「オレ」です。オレフィン系の樹脂とは、内部に炭化水素の2重結合を持った樹脂の総称で特定の樹脂を指す言葉ではありません。樹脂を燃やすと炭素と酸素が結合して二酸化炭素になり、水素と酸素が結合して水が生成される環境に優しい材料です。
ポリエチレンもその一つで、エチレンを重合結合したものとなります。ちなみに、一分子の分子化合物はモノマーといい、重合結合したものをポリマーといいます。エチレンを重合化合したものをポリエチレンと呼ばれます。
現代のゴミ袋は、全てポリエチレンとなっており、焼却炉で燃焼させても有害なガスは発生しない環境に配慮された袋として広く使用されるようになりました。
このように、燃えても水と二酸化炭素しか出さない環境に優しい「ポリエチレンアイオノマー被覆線」は、ダイオキシン問題が燻る最中に発進したのです。(つづく)
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