愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第五回

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第一章 ダイオキシン騒動③

ダイオキシンの問題が大きくなったのは、メディアの影響が大きいと言わざるを得ません。そもそも新聞やテレビなどでは「産業を育てる」ということ自体が否定的に報じられ、人々の生活を脅かすような噂に極端に偏る傾向があります。確かに、1950年代に産業が原因となった水俣病や四日市ぜんそくなどの公害問題から、産業の発展が人体へ悪い影響を引き起こすイメージがあることはわかります。しかし、根拠もない状況下での無責任な報道がダイオキシン問題を大きくしていきました。

今では、調査研究の成果によりダイオキシンの発生原因が「もの」ではなく「燃焼温度」であることが明らかになり、2000年には排出基準値が環境基準として盛り込まれました。しかし、塩化ビニル樹脂をはじめとする樹脂部材がダイオキシン発生の元凶という「誤解」を訂正する報道はほとんどなく、何事もなかったようにメディアから消えていきました。

1990年代後半のダイオキシン騒動は、工業製品に深い影を残していきます。例えば、率先して誤解であることを認めるべき公共工事においても塩化ビニル被覆鉄線が敬遠されるようになったのです。

報道の威力は、本当に怖いですね。(つづく)

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