愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第七回

商品紹介

第二章 塩化ビニル被覆鉄線の改良②

1990年代半ば、被覆鉄線業界は、フェンスや落石防止網など公共事業の市場を取り戻すため、心線をめっき線にするだけでなく、さらなる付加価値の検討を進めます。目指したものは、被覆線を用いた網の高強度化。引張強度が強く硬いめっき鉄線(H線)を心線に用いた塩化ビニル被覆のチャレンジを始めます。しかし、硬い心線に被覆することは、従来のなまし鉄線に比べ数段に難しくなりました。特に、網にする製網工程において問題が生じたのです。被覆線が作れるだけでは、製品にならないということがわかり、この新しいチャレンジの最大の課題でした。

製網工程での問題とは、硬い被覆線を曲げる際に樹脂被覆が割れてしまうという現象でした。まだ夏場は、気温が高く樹脂には柔軟性があるためトラブルは少なかったのですが、冬場になると気温が低くなり樹脂の柔軟性が落ち、曲げた際に割れが発生するという状況がおこったのです。

トワロンにおいても塩化ビニル樹脂を柔らかくするため可塑剤を入れて改良を繰り返しましたが、夏場と冬場の配合が異なるために、夏場に製造した被覆線が、冬場に製網されることもあり安定した製品作りが難しくなってきていました。試行錯誤しながら、お客様に安定した被覆線を提供するためのトライが続いたのです。(つづく)

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