愛ある被覆線物語 -持続可能な世界をめざして-  第六回

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第二章 塩化ビニル樹脂被覆鉄線の改良①

ダイオキシン騒動が起きる前に少し遡りましょう。

当時、塩化ビニル樹脂被覆鉄線にあった、もう一つの課題です。

1950年代から製造が始まった塩化ビニル樹脂被覆鉄線は、1990年代まで、なまし鉄線を心線に塩化ビニル被覆を施したものが主流でした。なまし鉄線は、鉄線を加熱し柔らかくしたもので、塩化ビニルの被覆はその鉄線の防錆を目的としたものです。柔らかく非常に扱いやすい被覆線であった反面、なまし鉄線の心線は、非常に錆びやすいことが問題となりました。特に屋外で使用する製品では、時間の経過とともに端部から徐々に心線だけが腐食し、結果的に表面樹脂だけが残るということが多くの場所で見受けられるようになり始めまたのです。心線が朽ちるということは、土木資材のような長く使う構造物は時間とともに強度を失うということになります。構造物として長く使えないという問題が原因で1990年代半ばには、公共事業である落石防止網などでは被覆鉄線を採用することは完全になくなり、市場は、亜鉛めっき鉄線が主流となっていきました。

それを重く見た被覆線業界では、塩化ビニル被覆鉄線の心材を錆びにくい「めっき鉄線」にする研究開発が始められたのです。(つづく)

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